脚本:キム・ソクファン
原作:キム・テウン
製作:チョン・ジンワン、イ・ジュンイク
出演:カム・ウソン、イ・ジュンギ、チョン・ジニョン、カン・ソンヨン、チャン・ハンソン、ユ・ヘジン
上映時間:2時間2分(2005年/韓国)
ずいぶんスキャンダラスな匂いが売りになってた映画なんですが、観るとその点はそうでもない。
なお、この映画の英題は『KING AND THE CLOWN』となっていました。
スキャンダラスな匂いぷんぷんなのは、原作劇のほうなんですね。
そっちの劇の方の内容を知っていてこの映画を観たら、そりゃ勘ぐるでしょうねぇ。パンフレットにコラム書いてた作家もそんな感じ。
この映画は色んな登場人物の人間像がよく描けていて本当に深く面白かったです。
もう一回じっくり観たいですもん。
感想は私にしては珍しく、一人ひとり書いてみようかなと思います。
まずは、稀代の暴君・ヨンサングン。
どうもしばらく経った今になって、彼の印象が強くなってしまったので。
解説を読むと「どんだけ暴君やねん! そら反乱も起こるわな」という非道の王様なのですが、このストーリーに限っては“寂しさに狂った憐れな王”という、上手い描き方をしていましたね。非常に興味を持てる。
脚本はもとより、役者の表現力が素晴らしかったんでしょうね。
韓国人にとっては歴史上忌むべき存在なんでしょうが。
日本にはここまでヒドイ統治者って、いないよなぁ…。
そしてその王の愛妾・ノクス。
彼女も韓国史上は結構有名な存在なんですかね? 意外と彼女に関するストーリーが「みんな知ってる」を前提に展開しているような気がした。
といっても、日本人が観ても分かるようにはなってますが。
売れっ子の妓生(芸者)から王に取り入って妃にまでのし上がったわけです。これまた日本の歴史上にはいない存在。
そしてこれまた役者に惚れました。
色気で王を虜にしただけかと思いきや、自分の元へ戻ってきた王を見て「馬鹿な男…」と呟く。
そして、ラストで反乱軍が宮中へ雪崩れ込んでくるシーンで、家来から逃げるように促されたにも関わらずそれを拒んで毅然と王の側で向かえる。あの時のカン・ソンヨンの目!!
シビれましたねー、女として。
ノクスという女をただの悪女にしなかった「あの目」が全てだよなぁ。
なんかこのノクスに憧れを抱きましたよ。女でもこんな風に太く短く生きられるのか!ってね。
実物はどんな女だったのかなー。この王と愛妾を描いた作品が他にもあれば、観てみたいですね。
王宮側の人間をもう一人。王の側近・チョソン。
最初からさり気に出てて、途中「なんか企んでるのか?」と思ったのですが、最後はちょっと驚きました。
他の役者は“動”の演技だとすると、チョソンを演じたハンソンだけは“静”の演技。趣きありましたねぇ。
結構気に入っていたのが、主演二人と絡む3馬鹿トリオ(?)。
なんか踊る大捜査線のスリーアミーゴスを思い出した(笑)。
でも、あんななっちゃうなんてーっ!
シリアスな中で浮かないようにコメディアンキャラを演るって難しいですよね、きっと。
ハマってたなー、三人とも。
さて、味があり過ぎ!?な好演、カム・ウソンのチャンセン。
韓国の役者さんって凄いですねっ!
あの綱のシーン、スタントじゃないんですか!? 本当に!?!?
とにかく、ひたむきなひたむきな、心が痛くなるようなキャラクターでした。
なんとなく、最後はフィールドで死にたいって思うアスリートや、ステージで死にたいって言う役者って、こんな人なんだろうな、と。
うん。とにかく心惹かれるという点では、ヨンサングンとチャンセンの間で劇中揺れましたもんね。
あと演じたウソンの素の顔見て驚きました。ふ、普通の二枚目顔だっ(笑)。
最後はやっぱり、イ・ジュンギ演じるコンギル。
もう、無垢と妖艶は紙一重だったんだねぇ。
え、そんな事ない?
そりゃこのイ・ジュンギ観てから言ってよ。
この映画で、どのシーン切り取っても美しいです。ヤバイです。私が男だったらたぶんイケます!!
いや、深く突っ込まないように(笑)。
うーむ、「美しい」というより「麗しい」といった方が合ってるかなぁ?
そういえば、途中コンギルが何考えてるか分からないような部分があったのですが、インタビュー読んで笑っちゃった。
イ・ジュンギも脚本読んでて分からない部分があったから神秘性に重点を置いて演じたそうな。
そら、分からんわ!(笑)
この主演二人のラストシーン、本当に心打たれます。
今思い返しても「くふぅ〜〜…」なタメ息。
空に飛ぶ二人のシルエットがきれいだったなぁ……。
ここまで突き詰めたい自分の「何か」「たった一つのもの」があるって、すごいよな。
『芸』に魅入られた人の話、日本にも逸話としてありますが、羨ましいような怖いような……。
まぁとにかく見所満載な、そして観た後もなお印象深い映画です。
今年私が観る韓国映画で、おそらく一番になるのは間違いないでしょう。




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