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2007 08.12 |
映画 『善き人のためのソナタ』 |
監督・脚本:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
製作:クヴィリン・ベルク、マックス・ヴィーデマン
音楽:ガブリエル・ヤレド、ステファン・ムッシャ
出演:ウルリッヒ・ミューエ、セバスチャン・コッホ、マルティナ・ゲデック、ウルリッヒ・トゥクール
上映時間:2時間18分(2006年/ドイツ)
あまり派手に宣伝等していない映画だったと思います。でも、観ようと思った。
キッカケは、ある日雑誌の整理をして次から次へとタウン誌やファッション誌・ミニコミ誌を読み飛ばしつつ切り抜き作業をしていたのです。
気付けばそれぞれの雑誌の映画情報ページで、やたらとこの『善き人のためのソナタ』を勧めているのです。
立て続けに、3・4誌見かけたかなぁ?
もしかして映画担当記者が、ある一定期間に観た中で、一番勧めたくなった映画なのかなぁ?と思い、興味を持って観に行きました。
劇場予告もチラとは見てたんですが、その時は「時間があったら観に行く…か?」程度のビミョーさだったのですけどね。
この映画を観て、最後まで観て、納得しました。
物を書くことを職業にしている人にとっては、何か特別な思い入れを持ってしまう映画なんでしょうね。
あまり日本人には感慨の湧かない“東ドイツ”がストーリーの舞台となっています。
私は『シュタージ』という言葉を聞いたのも初めてでしたよ。
こんな凄い監視システムを国家が張り巡らせていたなんて、しかも権力者がそれを当然のように私利私欲に使っていたなんて、驚愕でした。
家中の壁・ドアフォン・出入り口に盗聴を仕掛けて、24時間態勢で監視。信じられないですね。
でも、やってたんだ………。
この映画の主人公は、そのシュタージの局員・ヴィースラー。言ってみれば、監視・尋問のプロ。
国家第一で任務を遂行するような、そんなキャラクターでした。最初はね。
画面に登場した最初のあたりでは、目の色・物腰・話し方がとっても冷たい。
ミヒャエル・エンデの『モモ』に出て来る「時間貯蓄銀行」の“灰色の男”って、こんな感じかもなぁ、なんて思ったりしました。
そのヴィースラーが監視を命じられたのが、人気劇作家ドライマンとその恋人の舞台女優クリスタ、彼らの住まいを盗聴することです。
日々頭にヘッドフォンをセットし、出入り口に取り付けたのモニターを眺める仕事。
人のプライバシーを覗くのに、国家に危機を与える存在を捕捉する為という大義名分を振りかざしている。
いえ、そもそもこの東ドイツには、「プライバシー」っいう概念が存在しなかったかもね。
盗聴のヘッドフォンから息遣いまで鮮明に聞こえる中、二人の愛のある生活に触れることで、いつしかヴィースラーの心に変化が起きる。
その変化が、目や話す声のトーンに微妙に醸し出されている。役者さんの演技力もすごいよね。
「この曲を真剣に聴いた者は、悪人になれない」
この言葉が日々音楽に心揺さぶられることの多い私には、啓示のようでした。
例えば、「この曲を解かっている人とは友達になれる」とかあるもんね。
あぁ、でもこの映画、中盤からラストのキワキワまで、登場人物全てがとても孤独で、例え恋人同士のドライマンとクリスタであってもやっぱり何処か孤独であることが、痛い。
幸せそうに見える二人にも深い“寂しさ”がありました。
ただヴィースラー自身が変わっていく事で、彼のあまりにも色彩のない人生は変わっていくようでした。
大好きなシーンは、クリスタとバーで話す所とその翌日の所もいいのですが、もちろんラストシーンです。
『ニュー・シネマ・パラダイス』を初めて観た時、かなりダラ泣きで電車乗れないから歩いて帰ったのですが、今回も大変でしたワ。
家の近所の映画館で観たんだけど、バス乗って家に着くまで、このラストシーン辺りを思い出すと泣きそうになる。
監督の実体験と歴史背景をかなり上手に取り入れているので考えさせられつつも、ついに出会うことのなかったヴィースラーとドライマンの心の絆に心動かされました。
上映期間終了間際に寝不足を押して観に行ったのだけど、土曜日の夕方なんかに一緒に遠慮なく泣ける男友達なんかとゆっくり観に行きたい映画ですね。
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2007 08.01 |
オーシャンズ13の車内吊りポスター |
『オーシャンズ13』。
ウッカリ『12』を観に行かなかったので、『13』は劇場まで足を運ぼうか運ぶまいか……。
ビミョー。
車内吊りのキャッチコピーに、更にビミョーな引っ掛かりを感じつつ悩んでいます。
「1人でも見かけたら、ヤツら全員がいると思え。」
…………。
コレって何だか、
「1匹見たら、30匹いると思え。」
という例のヤツらについての教訓?を思い起こさせる……。
足が6本。
茶色い体に茶色い羽。
昔は北海道にいなかった。
そして、沖縄のはサイズが2周りビッグらしい。
あの……………。
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2007 07.12 |
映画 『パフューム−ある人殺しの物語−』 |
原作:パトリック・ジュースキント
監督:トム・ティクヴァ
製作:ベルント・アイヒンガー、ジジ・オエリ
脚本:トム・ティクヴァ、ベルント・アイヒンガー、アンドリュー・バーキン
美術監督:ウリ・ハニッシュ
出演:ベン・ウィショー、レイチェル・ハード=ウッド、アラン・リックマン、ダスティン・ホフマン
上映時間:2時間27分(2006年/ドイツ・フランス・スペイン合作)
噂には聞いていましたが、凄い映画でしたねー!!
観て帰って来てすぐブログに感想をアップしようと思いましたが、興奮状態で支離滅裂になりそうだったからしばらく寝かせました。
でも今思いだしても、全身にシビレが残っているような。
そんな危険と官能が隣り合わせになった映画です。
タイトル通り“香水”のストーリーですが、“香水”というよりは“匂い”がテーマでしたね。
“匂い”って大事ですよね。
クサイというだけで私をはじめ女子に毛嫌いされている上司を見るにつけ、そう思います(笑)。
いい匂いと、あといい声の男性はやっぱセクシーですもん。
でも“いい匂い”って何かな?って考えます。
人が感じるものだから、その人生で経験したものの中にあった出来事と結びついているものなんでしょうね。
他人が「それはちょっと…」と思うものを“いい匂い”と感じる人もいるかもしれない。
体臭なんてその最たるものでしょうね。
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2007 06.14 |
映画 『敬愛なるベートーヴェン』 |
監督:アニスカ・ホランド
脚本・製作:クリストファー・ウィルキンソン、スティーブン・リヴェル
製作:シドニー・キンメル、マイケル・テイラー
衣装:ジャイニー・テマイム
出演:エド・ハリス、ダイアン・クルーガー
上映時間:1時間44分(2006年/イギリス・ハンガリー)
音楽が題材となっている映画はやっぱり結構チェックしてしまうのですが、今回は「ベートーベンがストーリーのメインになっているんだな」という認識しかなくて観に行ったのでビックリ!!しました。
ベートーベン役って、あのエド・ハリスだったのねっ!!
すごい好きな役者さんです。
『ザ・ロック』での海兵隊の軍服姿の凛々しさに惚れましたモンね〜〜♪♪
でもチラシの写真も劇場予告も見たのに、気付かんかった…。
だってあの軍服をスリムに着こなすエド・ハリスがっ、あのエド・ハリスがっっ!
ふ、太い……………。
もぅ、ビックリしたさぁ。
役作りに執念を感じたわ〜〜。
カツラもあるし(笑)、同一人物と認識するまでに時間を要しました。
そうそう。
ダイアン・クルーガーの静かな知性を感じさせる演技もよかったですね。
ただピアノを弾くシーンの指使いのぎこちなさは何とも言えないものがありますが。しょうがないのかねぇ…、こればっかりは。
ベートーベンを題材にした映画では『不滅の恋/ベートーヴェン』が思い浮かびます。もう一回観たいなという、印象に残るいい映画だった。
あれはミステリアスな展開で観る者をトリコにしていくストーリーでしたが、この映画は生活のミョーなリアルさが散りばめられてて、あの時代の暮らしに触れるようにスクリーンに引き込まれていきました。
ただ、シビンのくだりは突然だし、一瞬ドン引きしましたけどネー(笑)。
1つ、小さいのだけどとても好きなシーンがあります。
クルーガー演じるアンナがベートーベンの住むアパートメントの階段で出会う隣の部屋のお婆さんとの会話です。
部屋の前に椅子を出して、そこでくつろいでいるお婆さん。
「自分の部屋には窓がないから、ベートーベンが不在の時はドアを開けてゆっくり出来る」と言う。
アンナが
「どうして引っ越さないの?」と問いかけると、
「だってあのベートーベンの新曲が1番に聴くけるのよ!」と目をキラキラさせるのです。
このお婆さんとの会話は心にグッとくるシーンであり、「あの時代にとってベートーベンはどういう存在だったのかな」と想像が掻き立てられるシーンでもあり……。
この小さな会話のおかげで、階下の住人もベートーベンが水浴びする度水漏れするのに、罵声を飛ばしつつ住み続けているのは……?とか思い巡らせたりネ♪
そして何より、この作品は、“結構メーワクな奴なのに、今は楽聖・当時は時代の寵児であったベートーベンという存在”を知ることができる素敵な映画なのです。
私今まであまり好きな作曲家ではなかったんですが、第九フルで聴いてみたーい!!って思うようになりましたもん。
聴覚に障害があったことで有名なベートーベン。
でも果たして、それが健常であったなら、あれほどの音楽を生み出せたのかな?
「私は耳は聞こえないが、頭の中は音楽で溢れている」という台詞が心に残りました。
耳が聞こえないという『音への渇き』が、彼の才能を人知を超越した領域へと昇華したような気がします。
この映画を観て、そう、思いました。
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2007 06.08 |
映画『王の男』 |
脚本:キム・ソクファン
原作:キム・テウン
製作:チョン・ジンワン、イ・ジュンイク
出演:カム・ウソン、イ・ジュンギ、チョン・ジニョン、カン・ソンヨン、チャン・ハンソン、ユ・ヘジン
上映時間:2時間2分(2005年/韓国)
ずいぶんスキャンダラスな匂いが売りになってた映画なんですが、観るとその点はそうでもない。
なお、この映画の英題は『KING AND THE CLOWN』となっていました。
スキャンダラスな匂いぷんぷんなのは、原作劇のほうなんですね。
そっちの劇の方の内容を知っていてこの映画を観たら、そりゃ勘ぐるでしょうねぇ。パンフレットにコラム書いてた作家もそんな感じ。
この映画は色んな登場人物の人間像がよく描けていて本当に深く面白かったです。
もう一回じっくり観たいですもん。
感想は私にしては珍しく、一人ひとり書いてみようかなと思います。
まずは、稀代の暴君・ヨンサングン。
どうもしばらく経った今になって、彼の印象が強くなってしまったので。
解説を読むと「どんだけ暴君やねん! そら反乱も起こるわな」という非道の王様なのですが、このストーリーに限っては“寂しさに狂った憐れな王”という、上手い描き方をしていましたね。非常に興味を持てる。
脚本はもとより、役者の表現力が素晴らしかったんでしょうね。
韓国人にとっては歴史上忌むべき存在なんでしょうが。
日本にはここまでヒドイ統治者って、いないよなぁ…。
そしてその王の愛妾・ノクス。
彼女も韓国史上は結構有名な存在なんですかね? 意外と彼女に関するストーリーが「みんな知ってる」を前提に展開しているような気がした。
といっても、日本人が観ても分かるようにはなってますが。
売れっ子の妓生(芸者)から王に取り入って妃にまでのし上がったわけです。これまた日本の歴史上にはいない存在。
そしてこれまた役者に惚れました。
色気で王を虜にしただけかと思いきや、自分の元へ戻ってきた王を見て「馬鹿な男…」と呟く。
そして、ラストで反乱軍が宮中へ雪崩れ込んでくるシーンで、家来から逃げるように促されたにも関わらずそれを拒んで毅然と王の側で向かえる。あの時のカン・ソンヨンの目!!
シビれましたねー、女として。
ノクスという女をただの悪女にしなかった「あの目」が全てだよなぁ。
なんかこのノクスに憧れを抱きましたよ。女でもこんな風に太く短く生きられるのか!ってね。
実物はどんな女だったのかなー。この王と愛妾を描いた作品が他にもあれば、観てみたいですね。
王宮側の人間をもう一人。王の側近・チョソン。
最初からさり気に出てて、途中「なんか企んでるのか?」と思ったのですが、最後はちょっと驚きました。
他の役者は“動”の演技だとすると、チョソンを演じたハンソンだけは“静”の演技。趣きありましたねぇ。
結構気に入っていたのが、主演二人と絡む3馬鹿トリオ(?)。
なんか踊る大捜査線のスリーアミーゴスを思い出した(笑)。
でも、あんななっちゃうなんてーっ!
シリアスな中で浮かないようにコメディアンキャラを演るって難しいですよね、きっと。
ハマってたなー、三人とも。
さて、味があり過ぎ!?な好演、カム・ウソンのチャンセン。
韓国の役者さんって凄いですねっ!
あの綱のシーン、スタントじゃないんですか!? 本当に!?!?
とにかく、ひたむきなひたむきな、心が痛くなるようなキャラクターでした。
なんとなく、最後はフィールドで死にたいって思うアスリートや、ステージで死にたいって言う役者って、こんな人なんだろうな、と。
うん。とにかく心惹かれるという点では、ヨンサングンとチャンセンの間で劇中揺れましたもんね。
あと演じたウソンの素の顔見て驚きました。ふ、普通の二枚目顔だっ(笑)。
最後はやっぱり、イ・ジュンギ演じるコンギル。
もう、無垢と妖艶は紙一重だったんだねぇ。
え、そんな事ない?
そりゃこのイ・ジュンギ観てから言ってよ。
この映画で、どのシーン切り取っても美しいです。ヤバイです。私が男だったらたぶんイケます!!
いや、深く突っ込まないように(笑)。
うーむ、「美しい」というより「麗しい」といった方が合ってるかなぁ?
そういえば、途中コンギルが何考えてるか分からないような部分があったのですが、インタビュー読んで笑っちゃった。
イ・ジュンギも脚本読んでて分からない部分があったから神秘性に重点を置いて演じたそうな。
そら、分からんわ!(笑)
この主演二人のラストシーン、本当に心打たれます。
今思い返しても「くふぅ〜〜…」なタメ息。
空に飛ぶ二人のシルエットがきれいだったなぁ……。
ここまで突き詰めたい自分の「何か」「たった一つのもの」があるって、すごいよな。
『芸』に魅入られた人の話、日本にも逸話としてありますが、羨ましいような怖いような……。
まぁとにかく見所満載な、そして観た後もなお印象深い映画です。
今年私が観る韓国映画で、おそらく一番になるのは間違いないでしょう。





